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事務所だより2008年10月号

季節の画像いつもお世話になっております。
そよそよと吹くこの涼風、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

それでは、今月の事務所便りをお届けします。


=-=-=-=-= 目次 =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
◆平成20年10月の税務
◆ 「名ばかり管理職」適正化に向けて厚労省が通達
◆ 《コラム》前払費用を少し深堀り
◆ 株式等に係る譲渡所得及び配当所得に対する課税制度の留意点-その3-
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◆平成20年10月の税務

◇個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)
  納期限・・・10月中において市町村の条例で定める日

◇9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
  納期限・・・10月10日(金)

◇特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
  通知期限・・・10月15日(水)

◇8月決算法人の確定申告
  <法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
  申告期限・・・10月31日(金)

◇2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
  <消費税・地方消費税>
  申告期限・・・10月31日(金)

◇法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
  <消費税・地方消費税>
  申告期限・・・10月31日(金)

◇2月決算法人の中間申告(半期分)
  <法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>
  申告期限・・・10月31日(金)

◇消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告
  <消費税・地方消費税>
  申告期限・・・10月31日(金)

◇消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告
 (6月決算法人は2ヶ月分)    <消費税・地方消費税>
  申告期限・・・10月31日(金)

◆「名ばかり管理職」適正化に向けて厚労省が通達

 厚生労働省が出した「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」という通達(9月9日付け)が話題になっています。

 今年1月に東京地裁が出した「マクドナルドの店長は管理職には当たらない」という判決は、活発な報道活動などとも相まって、チェーン展開を行う外食産業やコンビニなどに大きな衝撃を与えました。

 そもそも、管理職に残業代が支給されないというのは、労働基準法第41条2項において、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」については、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないとされていることが根拠となっています。

 ところが、上の条文における「監督若しくは管理の地位にある者」については、これまで「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」に着目、留意して総合的に判断する−という曖昧な基準しか示されていません。今年の4月に労働基準局監督課長名で出された「管理監督者の範囲の適正化について」という通達においても、この問題に関して適切な監督指導を行うよう、都道府県労働局長に対して指示を行ったに過ぎませんでした。

 厚生労働省の今回の通達は、「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における」という限定条件が付されているものの、今までの基準に具体例を示したという点で注目されています。

 たとえば、「職務内容、責任と権限」においては、 (1).アルバイトやパート等の採用について責任と権限が無い  (2).アルバイト・パート等の解雇について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず  (3).部下の人事考課について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず  (4).勤務割表の作成、所定時間外労働の命令にについて責任と権限がないこと−という具体的な例示がされています。

 また、「勤務態様」については、遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされること、「賃金等の待遇」については、 (1).時間単価換算した場合にアルバイト・パート等の賃金額に満たない  (2).時間単価換算した場合に最低賃金額に満たないこと  が示されています。

 ただし、これらの要素により即「監督若しくは管理の地位にある者」ではないとされるのではなく、あくまでも「他の要素を含め総合的に判断」することになっています。

◆ 《コラム》前払費用を少し深堀り

■企業会計原則における前払費用の規定
 @ 一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し
   支払われた対価
 A このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となる

■税法通達での短期前払費用の規定
 一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するもので、次のもの。
 @ その支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもの
 A その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度で
   損金経理しているもの
 B 次期以降の収益との個別対応関係にある費用ではないもの

■両者の共通点と相違点
 ともに支払を前提としているので、未払いの場合は前払費用にはなりませんが、支払いには手形支払いも含まれます。
 通達での前払費用の規定は、「時間の経過とともに次期以降の費用となる」ということに触れていません。それでか、雑誌・新聞の購読料、インターネットのバナー広告代金、野球やボクシングのボックスシートチケット代金などについて、これらを短期前払費用に含めている解説もあります。

■通達規定@AB
 税法でテーマになっているのは、損金算入可となる短期前払費用のみです。

 通達@の意味は、前払期間は最長1年との要求で、2年分を支払った場合には、未経過分の全額を資産勘定に計上しなければならないということです。ただし、自賠責保険料は保険期間が最長3年ですが、少額不追求として取り扱われています。

 通達Aの意味は、会計処理の継続性の要求で、毎月払契約の家賃を年払い契約に改めることなく任意に年払いした場合などと不規則でも、常に支出時に費用処理をするということの要求です。なおこれは個別の項目毎への要求で、短期借入金利息は支払時損金、長期借入金利息は前払処理というようなことでもよいということです。

 通達Bの意味は、借入金を預金、有価証券等に運用するような場合には、支払利息と受取利息・受取配当金が個別対応関係になるので、期間の経過に応じた損金処理が要求されるということです。

◆ 株式等に係る譲渡所得及び配当所得に対する課税制度の留意点-その3-

 前2回で現行(平成20年度)の課税制度及び平成21年1月1日から平成22年12月31日までの2年間の特例措置について説明致しましたが、今回は、平成21年度以後原則課税が適用されることに伴って創設された制度を説明するとともに、株式等に係る譲渡所得及び配当所得に対する課税制度の留意点について簡潔に整理することによって、一応この項目については完了させていただきます。

[1]上場株式等に係る配当等の申告分離選択制度の創設
 @ 平成21年1月1日以後に支払を受ける上場株式等に係る配当所得については、
   税率20%(所得税15%地方税5%)の申告分離課税を選択することが出来るようになりました。
   (従来は総合課税のみ。)
   これにより納税者が自己の所得水準に照らしてより有利な申告方式を選択することができます。
 A @以外の株式等に係る配当所得は現行通り総合課税による申告をしなければなりません。
 B 申告分離課税の選択は上場株式等に係る配当所得の合計額についてしなければなりません。
 C 申告分離課税を選択すれば配当控除の適用はありません。
 D 申告分離課税を選択すれば下記で述べる上場株式等の譲渡損失との損益通算の適用があります。
 E 平成21年1月1日〜平成22年12月31日の2年間は100万円以下の部分については
   税率10%(所得税7%地方税3%)の軽減税率の特例措置が適用されます。

[2]上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例の創設
 @ 平成21年1月1日以後に支払を受ける上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択した
   ものに限る。)からその年及びその年に繰り越された譲渡損失(前3年)の金額を控除することが出来
   るようになりました。
 A 上場株式等の配当等を源泉徴収選択特定口座に受け入れることが出来ることとされ、その特定口座
   内において、配当等と上場株式等の譲渡損失との通算が出来るようになりました。

[3]株式等に係る譲渡所得及び配当所得に対する課税制度の留意点のまとめ
 @ 平成20年度は従来と変わりません。
  (イ) 上場株式等の譲渡益・・・税率10%(所得税7%地方税3%)
  (ロ) 上記以外の譲渡益・・・税率20%(所得税15%地方税5%)
  (ハ) 申告方式・・・申告分離課税
  (ニ) 上場株式等の譲渡損・・・3年間の繰越が出来ます。
  (ホ) 源泉徴収選択特定口座・・・申告不要を選択できます。
  (ヘ) 上場株式等の配当所得・・・税率10%(所得税7%地方税3%)
  (ト) 非上場株式等の配当所得・・・税率20%(所得税20%)
  (チ) 申告方式・・・総合課税(配当控除有り)
  (リ) 申告の有無・・・上場株式等の配当は源泉徴収ですませることができます。
 A 平成21年度及び平成22年度
  (イ) 上場株式等の譲渡益・・・500万円以下は税率10%適用。
  (ロ) 上記以外の譲渡益・・・平成20年度と同じ。
  (ハ) 申告方式・・・平成20年度と同じ。
  (ニ) 上場株式等の譲渡損・・・3年間の繰越ができます。
      又、上場株式等に係る配当所得より控除することもできます。
  (ホ) 源泉徴収選択特定口座・・・10%で源泉徴収されるため、500万円を超える場合には確定申告が
      必要。
  (ヘ) 上場株式等の配当所得・・・100万円以下は税率10%適用。
  (ト) 非上場株式等の配当所得・・・平成20年度と同じ。
  (チ) 申告方式・・・上場株式等の配当所得は申告分離課税と総合課税の選択適用。非上場株式等の
      配当所得は総合課税のみ。
  (リ) 泉徴収選択特定口座・・・上場株式等の配当について特定口座へ受け入れることが出来るように
      なりました。又、10%で源泉徴収されるため、100万円を超える場合には確定申告が必要です。
  (ヌ) 損益通算・・・上場株式等に限り、配当所得と譲渡損の損益通算が可能となりました。
      又、特定口座内での損益通算も制度として採り入れられました。
 B 平成23年度以後
  (イ) 上場株式等の譲渡益・・・税率20%(所得税15%地方税5%)
  (ロ) 上記以外の譲渡益・・・税率20%(所得税15%地方税5%)
  (ハ) 申告方式・・・申告分離課税(従来と同じです)
  (ニ) 上場株式等の譲渡損・・・3年間の繰越ができます。又上場株式等に係る配当所得より控除する
      こともできます。
  (ホ) 源泉徴収選択特定口座・・・申告不要を選択できます。
  (ヘ) 上場株式等の配当所得・・・税率20%(所得税15%地方税5%)
  (ト) 非上場株式等の配当所得・・・税率20%(所得税20%、従来通り)
  (チ) 申告方式・・・上場株式等の配当所得は申告分離課税と総合課税の選択適用。非上場株式等の
      配当所得は総合課税のみ。
  (リ) 源泉徴収選択特定口座・・・20%の源泉徴収で申告不要を選択することができます。
  (ヌ) 損益通算・・・上場株式等に限り、配当所得と譲渡損の損益通算をすることができます。
      又、特定口座内でも損益通算ができます。